#2「自律分散型社会」とは

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4Natureでは、創業当初からのサトウキビストローの販売から始まり、コミュニティーコンポストやファーマーズマーケット、さらには今年からはCSA LOOPという事業に新しく挑戦しています。

一見、関係ないようなそれぞれの事業にも一つ一つに共通した大きな目的があります。

そして、そこに至るまでにさまざまな出会いやストーリーがあります。

その出会いやストーリーについてもたくさんお話していきたいと思っています。

  • Text:

    Ryota Hirama

関係性としての自律分散

12月の末に迫って参りましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか?4Natureの平間です。さて今回は、会社に関する連載についての#2「自律分散型社会」についてお話していきます。自律分散というと、エネルギーやテクノロジーの分野で語られることも多々ありますが、4Natureでは社会の仕組みとして、人と人の関係性のあり方としての自律分散を目指しています。とは言っても真新しいものではなく、以前の日本においては確かに存在していたものを現代版にアップデートさせようということです。

関係の距離の変化

自然社会と密接に暮らしを行っている地域において自然資源を持続的に管理することは、人が自然に直接働きかけその恩恵を受け続ける営みであると言い換えることができます。そのためには、「その地域に暮らす人々が、その地域の自然環境を理解し、お互いに尊重し合い協働して取組を進める」ことが重要となります。その結果、人と人とのつながりや、人と自然とのつながりは、地域の活力を支える重要な要素であると考えられます。しかし、現代の社会において、特に都市部においてはインターネットやSNSの発達によって人と人とのつながりが希薄化している現状が見られます。それどころか高度経済成長期以降、人と人の繋がりを避けるようなきらいがあったように思います。近隣住民とのお付き合いや顔の見える関係を面倒だと感じ、一定の距離を保ったインターネット上での知り合いがいることで代替していたのです。

ところが、東日本大震災やコロナ感染症の蔓延を経験したことでその流れは徐々に変わってきたように思います。いや、変わらざるを得なくなったように思います。リスクがさまざまな形で襲いかかってくる現代では、リアルでの手助けや精神的な親交関係こそが安心感の源泉だと気づいた人が多かったのではないでしょうか?私自身、いかに地域社会に支えられていたのか、社会の仕組み支えられていたのか、人と人との会話が心を豊かにするのかが骨身に染みる日々が続きました。

地域の崩壊

では、そもそもなぜ人と人との繋がりを断絶するようになってしまったのでしょうか。4Natureではここの把握が重要だと考え議論を重ねてきました。見えてきたことは、「社会の価値観や働き方の変化に従来の仕組みでは対応しきれなくなった。」ということでした。日本は戦後以来、政府の指揮のもと一丸となって復興を目指して必死に働き、現在の日本の礎を築いてきました。その結果、高度経済成長以降の豊かな暮らしを手に入れることができました。一方で、インターネットの普及等により価値観も多様化していきました。そこに、従来の仕組みの崩壊がはじまったように思います。

地域社会における人と人の繋がり合い協働していく場として代表的な仕組みに町内会があります。そして、町内会が地域のお困りごとを解決する機関としての機能も果たしていました。子供の面倒を近所の人が見てくれたり、調味料の貸し借りがあったり、さまざまな助け合いの姿がそこにはありました。ところが、価値観の多様化や女性の社会進出により町内会に参加することが容易ではない社会が訪れました。すると、参加できないことを負い目に地域とのコミュニケーションが希薄化し、時間ができたとしてもより参加しづらくなる悪循環が起きます。そして、だんだんと地域内での助け合いや協働の姿は見られなくなります。

そして、再構築

地域社会における自律分散型の仕組みが消え、中央集権的な仕組みである政治のみが社会課題の解決手段になっていきました。(もちろんそればかりではありませんが。)価値観が多様化すると共に、社会問題も多様化していったのにも関わらずです。極端な例かもしれませんが、例えば若年層の貧困化などが2021年には取り沙汰されて選挙時の公約などにも入れられることがありましたが、この問題は、東京都の港区にとっては差し迫った問題ではないことが想像されます。当然、政治が取り上げることで社会課題に注目を浴びることは意味のあることです。先ほど、社会課題の解決手段が政治と書きましたが、政治は基本的に号令を掛け、手段を提供することしかできません。実際に解決していくのは、その地域地域で適切に実施していかなければなりません。つまり、「その地域に暮らす人々が、その地域の社会課題を理解し、お互いに尊重し合い協働して取組を進める」ことが求められるのです。

4Natureが目指す自立分散のアップデートは、この社会の変化に対応した仕組みのモデルを作り社会に普及させていていくことです。

次回は、社会が変わっても変わらず大切にしたい価値、「美味しい」「楽しい」「愛おしい」をお伝えします。

今後の記事

10月:#1.プロローグ
「ご挨拶」
11月:#2.Mission
「バランスの取れた優しい世の中に」とは
12月:#3.Vision
「自律分散型社会」とは
1月:#4.Value
「美味しい」「楽しい」「愛おしい」
2月:#5.Core part1
「コミュニケーション」とは
3月:#6.Core part2
「グラデーション」とは
4月:#7.Core part3
「余白」とは